ワンドロお題『色気』
絡め取った褐色の指先には金色のエナメルが施されている。
暁の解散にあたり身辺整理で見つかったのは「吟遊詩人時代」の名残だった。彼女たちは着飾られる事を好み、サンクレッドは度々と指先を彩ってきたのを思い出す。処分しようとした矢先、大きな背を丸め不服そうに覗きこむ大先生へ「塗ってやろうか?」と尋ねれば、肯定が返ってきたのだった。
「……ん」
長く華奢な親指を口に含む。舌を柔く刺激する焦ったさに歯を立てると、ウリエンジェが目尻を下げた。続けざまに人差し指と中指が侵入する。サンクレッドは丁寧に舌で愛撫をし、口内に溢れた唾液を啜って指を締め付けた。いつも体内でそうするように。
彼の指は少しも圧迫感がなく物足りないくらいだ。喉奥まで誘い込みたかったが、薄い唇が熱い吐息を漏らしたのを見て解放してやる。濡れた金色は己を見つめる男の瞳と同じ色をしていた。
彩った爪先は多様で、けれど一様に伸ばされており、しばしばサンクレッドを傷つけた。背中の爪痕や裂けた内壁は血を流し、いつしか慣れに変わる。
ウリエンジェの爪先は彩られる事こそ無かったが、常に切り揃えられていた。その指先にサンクレッドは惹かれた。
「貴方が欲しい」
深い森に響かせるような声で訴えられ、身体が熱を持つ。この物静かな男が自分を貪る姿はそれは艶やかなのだ。耳元で名を呼ばれ、美しい指先で昇り詰めて解放されたい。
「……俺もだよ」
サンクレッドは金色の光る手を、花開く場所へと導いた。